旅館業(簡易宿所)と民泊新法の使い分け
180日上限、用途地域、フロント設置。どちらで進めるかの判断材料。
公開 2026-07-20 / 更新 2026-09-24
民泊(住宅宿泊事業)と旅館業の簡易宿所の違いは、手続きと営業日数の上限にある。住宅宿泊事業は都道府県知事等への届出で始められるかわりに、人を宿泊させる日数が1年間で180日以内に限られる(住宅宿泊事業法第2条第3項・第3条第1項)。簡易宿所営業は、宿泊する場所を多数人で共用する構造の施設で営む旅館業で、都道府県知事等の許可が要り(旅館業法第2条第3項・第3条第1項)、法律に日数の上限は無い。
出典:住宅宿泊事業法(e-Gov法令検索) 第2条・第3条、旅館業法(e-Gov法令検索) 第2条・第3条
同じ「人を泊めて対価を得る」でも、旅館業法の簡易宿所と住宅宿泊事業では、通せる条件と使える建物が違う。判断の材料を並べる。
年間営業日数
- 住宅宿泊事業:年間180日が上限
- 簡易宿所:上限なし
稼働率を積み上げて回収する計画なら、180日の壁で成り立たなくなる。ここが最初の分岐になる。
手続の重さ
- 住宅宿泊事業:届出。要件を満たせば受理される
- 簡易宿所:許可。保健所の審査を通る必要がある
許可は基準を満たさなければ下りない。構造設備の基準(客室の延床面積、玄関帳場に代わる設備、便所の数など)を満たす改修が必要になることが多い。
用途地域
- 住宅宿泊事業:住居専用地域でも原則可能(条例の制限はありうる)
- 簡易宿所:住居専用地域では原則不可
住居専用地域の空き家を活用するなら、実質的に住宅宿泊事業しか選べない。ここが2つ目の分岐になる。
フロントと管理
簡易宿所は玄関帳場(フロント)またはこれに代替する設備が求められる。ICTを使った代替が認められる範囲は自治体によって差がある。
住宅宿泊事業は、家主不在型なら住宅宿泊管理業者への委託が要る。どちらも人か仕組みのコストがかかるが、性質が違う。
特区民泊
国家戦略特区の区域では、認定を受けて営む方式もある。最低宿泊日数の要件があるかわりに、日数の上限がない。区域が限られるため、対象地域かどうかを先に確認する。
判断の順序
- その用途地域で簡易宿所が建てられるか
- 年間何日稼働させる計画か
- 改修にいくらかけられるか
- 管理を誰がやるか
1と2で答えが出ることが多い。3と4は費用の比較になる。
このサイトが収録しているのは住宅宿泊事業の届出住宅である。旅館業の許可施設は現時点で扱っていない。制度の細部は所管窓口で確認してほしい。